消滅のリスト 五條 瑛
スパイ天国と言われ続けても対策がとられない
日本、情報というものに対する価値観は昔は刑
事が情報屋から仕入れるのに金を渡す、
その程度の認識しかなかったこの国で、最近の
個人情報流出やパスワードが盗まれなりすまし
の被害が発生したり、ネットに機密情報が出た
りする報道でようやく情報への関心が芽生えて
きました。
その程度の危機感である日本社会の裏側ではこ
んなにも重要な情報がやり取りされていた、
現実にあっても不思議ではない物語です。
ある会議の内容が本作品の肝になります。
この情報の価値は利用の仕方次第でとんでもな
い打ち出の小槌になる、それを知り得た者達の
争奪戦日本、アメリカ、そして中国、豊富な資
金力でなりふり構わず実弾という金で情報を奪
いとってくる作戦に実力行使、情報戦と実戦、
絡み合う複雑な登場人物の関係と、読み手には
困難の連続な小説です。
全792頁、読み疲れ、情報という価値に構え
てしまう難しい作品でした。
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