ビッグデータ・コネクト 藤井 太洋
これも面白かったです、読んだ人みんなが面白い
と思うかというと専門的な知識が多少必要な気が
します。
エンジニアの誘拐事件や遠隔ウィルスの拡散事件、
名簿の流出など近年話題のネタが盛りだくさんで
す。
これまでサイバー犯罪をテーマにした警察小説は
いろいろ出始めてはいますが、ここまで本格的で
サイバー専門の刑事が主人公になる作品は読んだ
ことがありませんでした。
ビックデータの活用がもたらす利便性とリスク、
個人情報とはどこまでをいうのか、政府のルール
作りはどうしても問題が起こった後になるため技
術が先に行ってしまう、しかもとてもその技術は
早く進歩していて追いつかない現状です。
それに拍車をかけるのが無理難題を仕様にして押
しつける発注者、それを無理矢理納期に間に合わ
せるために違法と知りつつも外注しまくって末端
は何次下請けなのか分からないほどになり、それ
でも仕事ができる、というか責任感のあるエンジ
ニアに負担は流れ、持ち出しまでして納期に間に
合わせる。
こんな無茶なことが日常的に行われ、結果、不具
合やセキュリティに
問題が発生し情報の漏洩が発生することに。
IT業界のおかれた現状、技術を成果品とする業界
で起こっている現状をリアルに描き、ビックデー
タの活用にも警鐘を鳴らすとも言える作品、とて
も面白かったです。
[0回]