握る男 原 宏一
この作品、とにかくすごかったです。
帯には、「悪魔のような頭脳で時代を制覇した
「食王」の一代記!!とあります。
一介の鮨職人、しかも16歳で弟子入りし瞬く
間に日本の外食産業の帝王に成り上がった主人公、
徳武光一郎の生涯を、鮨職人時代の兄弟子で、
徳武の番頭として自身が冤罪で刑務所に収監され、
その後徳武が死んだ知らせを受けるまで、2人の
生涯を描いた作品です。
店の実権を握り、物凄い勢いで広げる人脈、時に
は法に触れるであろう事も目的を達するためなら
厭わず実行、恐ろしく頭の回転の早い少年が成り
上がっていく姿、それは時に同業者だけでなく、
行政からも睨まれる存在になっていきますが、そ
れを堂々と受け止めると同時にしたたかに裏側か
ら逆襲する、行政をも脅かす存在となった徳武、
いったい彼のゴールはどこだったのか。
兄弟子で番頭となり必死で支えた金森信次は、間
近で徳武光一郎という人間の姿を見続け、その執
念深さと戦略のたて方にいつも驚愕しつつ、その
とおりになっていく現実を受け入れ、彼に従って
いくしかなかった人生を刑務所で振り返ることに
なります。
想像もできない方法で成り上がっていく姿を描いた
とても面白い作品でした。
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