バラ色の未来 真山 仁
Integrated Resort、統合型リゾートを巡る日本の近
未来を描いた作品です。
内容の規模が大きくなり過ぎてラストがメインの話
以外収束せず、散らかったままのエンディングが
ちょっともやもやします。
松田総理の側近、IRの指南役と言われた青森県の
小さな町の町長、鈴木一郎がホームレスになり、
熱中症で亡くなったことから5年前の壮絶な誘致
合戦の結末とその果てがクローズアップされます。
松田総理の広報誌とまで呼ばれる東西新聞の中で、
編集局次長かつて鈴木元町長を取材までした結城
洋子を頭に特別取材班を編成しカジノ問題を様々
な観点から追及し様々な圧力と戦う記者の姿を描
いた物語です。
登場人物とその背景、あまりにも多くそして興味
深いエピソードに、その結末がとても気になるの
ですが、全てを書いてしまうと上下巻で収まるか
どうか。
それくらい個性の強い登場人物が出てくるだけに
残念な気持ちになるのでした。
それでもカジノ、統合型リゾートが生み出す力と、
その力に飲み込まれてしまう人々、依存症だけで
なく、利権に群がる生き物、こういったハード
(箱物)とソフト(カジノ運営)がセットになっ
た事業は悲劇が待っている絶好の物語だと思いま
す。
関わる人間の喜怒哀楽を描いたとても面白い作品
でした。
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