ミリオンセラーガール 里見 蘭
これまで、書店の側にたった作品、出版社を舞台にした
作品はいろいろありましたが、出版社を舞台に、営業、
編集、取次、書店員と本の流通を巻き込んだ作品に初めて
出会いました。
これは面白いです。
本が好きなので当然なのかもしれませんが、本が完成して
書店に並べられ、並べられさへしない本もあり、書店の規模
でも入荷数位が違い、大手でもない限り取次で調整される、
返品が自由で気楽な商売と思ったら大間違い。
これはスゴイ作品です。
主人公は、アパレルショップの店長だった正岡沙智。
彼氏にフラれ、翌日には店が閉店、リストラに。
ファッション誌をめくり偶然見つけた編集者募集の広告。
出版社を受けまくり、最後の1社で採用された紙永出版。
当然ファッション誌ULTIMOの編集部に配属されると思いきや
辞令には販売促進部と書いてあります。
本を売るというのは、どういう事なのか。
作家が仕上げた原稿が本になり書店に並べられる仕組み、
通常の流通業界ではあり得ない取引形態。
沙智はだんだん、この世界にハマっていきます。
無名作家の小説をミリオンセラーにするという命を受け
販売促進部、ハンソクの戦いが個性あるメンバーとともに
始まります。
今、出版不況と呼ばれる時代だからこその問題点、
電子出版の利点、現状の問題を提起しつつ乗り越えていこう
とする姿がとても面白いです。
いい作品でした。
[0回]
PR