ヘルメスの相続 宮城 啓
主人公の岸一真、公認会計士で個人でコンサル業を
営み、所謂下請けで何とか生きている彼は金のため
に引き受けた仕事、公認会計士とは全く関係のない
アメリカ人を探すという探偵のようなものでした。
雇い主たる同じくアメリカ人のレイラ、彼女の恋人
が日本で失踪したのでした。彼の職業はジャーナリ
スト、何のネタを追っていたのかも分からず途方に
暮れる岸、単なる人捜しから物語は戦後のGHQの
陰謀や財閥解体、マネロン、殺人事件、そして過去
の完全犯罪の解明にまで発展していきます。
彼の失踪が戦後70年の封印を解きます。
終戦直後から経済活動と税。税を逃れるためのマネ
ロン、それは何十年経ってもかわらぬ状況を
千年地所という非上場の会社から紐解きます。
果たして岸は彼を見つけ出すことができるのか、
人探しがとてつもない経済事件へと発展していく様
は、読んでいてどきどきしてしまいます。
とても内容が深く歴史をも紐解いていく、かなり難
しい物語ですが、それを凌ぐ人間模様がとても面白
かったです。
度を超えた租税回避は、自身の資産が消滅するとい
う結末を迎えることもある、それでもお金持ちの人
はやらずにはいられないのですね。
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