逆向誘拐 文 善 (著), 稲村 文吾 (翻訳)
やはり訳本だとどうしてもニュアンスが正確に伝
わらない、というより日本人の感覚との差から生
じる違和感でしょうか。それが最新の技術や金融
に関することであると尚更です。それでも、今の
世間を素直に現しているとでも言うのでしょか、
現代の若者の感覚がベテラン捜査員達を混乱させ
ます。
事件は投資銀行から極秘の融資案件データが盗ま
れたことから始まります。犯人はこのプロジェク
トに関わった僅かなメンバー、そして主人公の植
嶝仁です。植嶝仁は案件には関係なく、情報シス
テム部に所属し、データが無くなったと相談を受
けたことから巻き込まれていきます。
植嶝仁は、父親が財閥を率いるトップ、つまり大
富豪の息子だったりして、著者が香港生まれとい
うことで、そういった背景が絡み複雑さが増して
理解するのに途中苦労しました。それにしても、
これだけのストーリー、複雑さに難解な金融シス
テム、そして新しいテクノロジーと意外な結末、
第三回島田荘司推理小説賞を受賞するだけの
作品で面白かったです。
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