犬の報酬 堂場瞬一
いつまでも隠蔽体質が改善されないタチ自動車、
同族企業故のことなのか、出遅れている自動運転技
術の開発を急ピッチで進めるなか事故が起こります。
社を揺るがすほど、社長が交代するまでの自体にな
った隠蔽体質は未だ存在し、今回も事故の隠蔽を図
った結果、その内容が東日新聞社に漏れるという失
態を犯します。
事故原因を解明することとは別に、情報をリークし
た密告者を捜すチームが設けられますが、ことごと
く情報は漏れ続けます。
調査を担うタチ自動車総務課係長の伊佐美祐志、
記事を書き続ける東日新聞社会部遊軍キャップの
畠中孝介の戦いです。
日本の多くの企業体質を描いています。多少の差は
あれこういったことは、どこの企業でもありそうで
す。
今話題のIoT、とりわけ注目される自動運転技術を
題材に先端の技術開発の現場と旧態依然とした企業
体質を如実に描いています。
泥臭い人間模様とその裏側にはさらに大きな陰謀
も見え隠れします。
最後の「総務の矜持」という言葉はとても心に響く
作品でした。
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