テロリストの処方 久坂部 羊
医療格差の拡大をきっかけに、いわゆる勝ち組の医
師を狙った殺害事件、連続テロが発生を機会に日本
の医療制度が実質的に破綻し、新しい医療制度の必
要性について問題提起を狙った作品といったところ
でしょうか?
大きく掲げていますが、意外に狭い世界での物語で
す。
主人公は、医師から医事評論家へ転身した浜川浩、
彼の医学部時代の同級生達で物語は展開していきま
す。
全日本医師機構の新総裁、狩野万佐斗は、人々を魅
了する語り口調、改革を掲げることで人気を博し、
医療制度の大改革を訴えます。その彼に脅迫状が届
いたことから浜川の調査が始まります。
高額な医療費で巨万の富を得る医師と、それ以外の
医師、医療の世界は二極化が進む中で起こったテロ、
実行犯は誰なのか、組織的な犯行なのか、個人的に
は、なんとなく真相が見え隠れし、結果、想像どお
りだったのが残念でしたが、ラストの展開がぞくぞ
くしました。
限りなく登場人物を絞り込み、幾重にも話が散らか
らないので、物語に集中でき油断して置いてきぼり
になることはありませんでした。
医療に対する知識がなくても、スリリングな展開を
楽しむことができます。
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