不発弾 相場英雄
内容はがっつり経済小説なのですが、警察小説の要
素も多分に含んだ作品です。
これぞ世の中の本質、正義だけでは成り立たない社
会を如実に現しています。
古賀遼こと古賀良樹、商業高校を出ただけ、父親は
炭鉱の事故で亡くなり、母親はスナックを経営する
が酒浸り、どちらかと言えば貧しい家で育った男が
日本の、もっと言えば世界の不発弾となっていく様
を描いています。
超大手の三田電機が不適切会計という名の巨額な粉
飾決算を発表、不適切会計という不思議な言葉で報
道するマスコミに違和感を覚え、キャリアの警視庁
刑事部捜査第二課、小堀秀明が目をつけ出世のため
にも捜査に着手します。
小堀もこのことで社会を見つめ直すきっかけとなっ
ていきます。
古賀の生き様、証券会社に入社し、金融コンサルタ
ントとなって何をしたのか。
経済のカラクリ、あの損失はどこへいったのか、金
融業に理系の人間がたくさん採用され金融工学によ
る新たな仕組みが想像を絶する額、規模で日本を蝕
んでいくのでした。
財テクから損失隠し、飛ばしに名を変え現在も突き
進んでいます。
面白かったです。そして、こういう終わり方がリア
ルだなぁと感心してしまいました。
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