デッド・オア・アライブ 楡 周平
新しい技術への転換点、既存の技術で生き残りを
図るか、それとも思い切った転換を図り新たな分
野へと進むのか、企業の選択が生死を決める物語
です。
総合電機メーカーの大手、コクデンは不正会計の
発覚により信用失墜、収益の見込める事業のほと
んどを切り売りし瀕死の状況からの新基軸への挑
戦に挑みます。
軽自動車を国内のみで販売している自動車メーカー
のイナズミは何でも入りの高額な軽自動車を発売
するも全く売れず経営不振にあえいでいました。
日本最大手、世界的な自動車メーカーのタカバも
鳴り物入りで国までを動かし推進していた水素自
動車の事業が頓挫しつつあり、生き残り策を必死
で考えていました。
そこに、八王子のベンチャーの小さな自動車メー
カー、ミライモータースが大きなヒントを与えて
くれます。
異業種だったり、規模が全く異なる自動車メーカー
が電気自動車というカテゴリーから戦いとシナジー
が始まります。
改めてリスクをとる経営判断の難しさ、情熱だけ
でもだめ、技術は当然のこと資金の調達先や社内
政治、そして自身の保身と出世欲、様々な感情が
入り乱れる中での決断は相当困難を極めます。
コクデンの新型充電池フレアがコクデンの生死だ
けでなくイナズミの社運、タカバの世界戦略も懸
かった壮大な規模の物語となっています。
それぞれの企業の社員や経営陣が判断し出した結
論は、どんな未来へと繋がるのか、わくわく感の
中で一気読みでした。
とても面白かったです。
自動車業界の近未来が覗けた感じがします。
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