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経済・企業小説よむ読む(改)

経済小説、企業小説、警察小説、ミステリーと 最近は様々なジャンルを読んでいます。 文房具のことや独り言なんかも書いてます。

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犬の報酬

犬の報酬 堂場瞬一

いつまでも隠蔽体質が改善されないタチ自動車、
同族企業故のことなのか、出遅れている自動運転技
術の開発を急ピッチで進めるなか事故が起こります。
社を揺るがすほど、社長が交代するまでの自体にな
った隠蔽体質は未だ存在し、今回も事故の隠蔽を図
った結果、その内容が東日新聞社に漏れるという失
態を犯します。
事故原因を解明することとは別に、情報をリークし
た密告者を捜すチームが設けられますが、ことごと
く情報は漏れ続けます。
調査を担うタチ自動車総務課係長の伊佐美祐志、
記事を書き続ける東日新聞社会部遊軍キャップの
畠中孝介の戦いです。
日本の多くの企業体質を描いています。多少の差は
あれこういったことは、どこの企業でもありそうで
す。
今話題のIoT、とりわけ注目される自動運転技術を
題材に先端の技術開発の現場と旧態依然とした企業
体質を如実に描いています。
泥臭い人間模様とその裏側にはさらに大きな陰謀
も見え隠れします。
最後の「総務の矜持」という言葉はとても心に響く
作品でした。


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不発弾

不発弾 相場英雄

内容はがっつり経済小説なのですが、警察小説の要
素も多分に含んだ作品です。
これぞ世の中の本質、正義だけでは成り立たない社
会を如実に現しています。
古賀遼こと古賀良樹、商業高校を出ただけ、父親は
炭鉱の事故で亡くなり、母親はスナックを経営する
が酒浸り、どちらかと言えば貧しい家で育った男が
日本の、もっと言えば世界の不発弾となっていく様
を描いています。
超大手の三田電機が不適切会計という名の巨額な粉
飾決算を発表、不適切会計という不思議な言葉で報
道するマスコミに違和感を覚え、キャリアの警視庁
刑事部捜査第二課、小堀秀明が目をつけ出世のため
にも捜査に着手します。
小堀もこのことで社会を見つめ直すきっかけとなっ
ていきます。
古賀の生き様、証券会社に入社し、金融コンサルタ
ントとなって何をしたのか。
経済のカラクリ、あの損失はどこへいったのか、金
融業に理系の人間がたくさん採用され金融工学によ
る新たな仕組みが想像を絶する額、規模で日本を蝕
んでいくのでした。
財テクから損失隠し、飛ばしに名を変え現在も突き
進んでいます。
面白かったです。そして、こういう終わり方がリア
ルだなぁと感心してしまいました。



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クランクイン

クランクイン 相場 英雄

フィルムの時代とは異なるデジタルになってからの
映画製作の裏側、それを相場英雄氏が描きました。
いろいろ挑戦してますね。
主人公は中堅どころの広告代理店に映画好きという
ことで採用された経緯のある根本崇です。
彼の素性が物語の肝になります。
顔出しNGの超大物作家が書いたベストセラー小説
を映画化する企画、これまで大手広告代理店2社が
断念した曰わく付きの作品に、根本が製作委員会の
責任者として担当することになります。原作者への
映画化許諾のお願いから始まり、スポンサーの獲得、
役者やスタッフの確保、映画を作るのにどれだけ情
報化社会となっても人の苦労があるということを知
ることができます。
この物語の肝、なぜこれまで映画の担当をしたこと
もない根本が責任者に選ばれたのか、その理由が泣
かせるもう一つの物語が描かれています。
いろいろ感想や批評など出ていますが、個人的には
とても面白かったです、ラストには唖然としました
が・・・
台本があって監督とスタッフ、演じる役者がいれば
いいというわけではない、作品を作り上げる裏側も
学ぶことができ、何より主人公、根本の物語がよ
かったです。
クランクインとはいいタイトルだなと思いました。



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こちら弁天通りラッキーロード商店街

こちら弁天通りラッキーロード商店街 五十嵐 貴久

親から継いだ印刷屋で地道に働いていた主人公の笠
井武は不動産屋の知り合いから保証人を頼まれ1億
の借金を背負うことになり、とうとう死を覚悟し偶
然乗った電車の終点、大前泊という駅に降ります。
豪雨で雨宿りのつもりで入った坊主のいない寺で
一夜を明かし、さて死ぬかと考えていたところに現
れた老夫婦、笠井を新しい坊主だと勘違いをし気が
つけばラッキー商店街の人々が押し寄せてきます。
願いは一つ、ポックリ死ねるよう祈祷してもらう
こと。
この商店街は既に死に体、住んでいるのは老人ばか
り、願うは早く死ぬこと。そんな商店街で住職と
なった笠井が言ったのは、本当に思いつき、自分に
都合のいい話でしかなかった、それが商店街にじわ
じわと波紋を広げ、とんでもない奇跡を起こすこと
になります。
スピード感がある訳でもないのに斬新なアイデアに
驚き、そして笑って一気読みです。
ラストは人情話もあり、とても面白い作品でした。




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バラ色の未来

バラ色の未来 真山 仁

Integrated Resort、統合型リゾートを巡る日本の近
未来を描いた作品です。
内容の規模が大きくなり過ぎてラストがメインの話
以外収束せず、散らかったままのエンディングが
ちょっともやもやします。
松田総理の側近、IRの指南役と言われた青森県の
小さな町の町長、鈴木一郎がホームレスになり、
熱中症で亡くなったことから5年前の壮絶な誘致
合戦の結末とその果てがクローズアップされます。
松田総理の広報誌とまで呼ばれる東西新聞の中で、
編集局次長かつて鈴木元町長を取材までした結城
洋子を頭に特別取材班を編成しカジノ問題を様々
な観点から追及し様々な圧力と戦う記者の姿を描
いた物語です。
登場人物とその背景、あまりにも多くそして興味
深いエピソードに、その結末がとても気になるの
ですが、全てを書いてしまうと上下巻で収まるか
どうか。
それくらい個性の強い登場人物が出てくるだけに
残念な気持ちになるのでした。
それでもカジノ、統合型リゾートが生み出す力と、
その力に飲み込まれてしまう人々、依存症だけで
なく、利権に群がる生き物、こういったハード
(箱物)とソフト(カジノ運営)がセットになっ
た事業は悲劇が待っている絶好の物語だと思いま
す。
関わる人間の喜怒哀楽を描いたとても面白い作品
でした。





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性別:
男性
自己紹介:
ただの本好きです。文房具も大好きです。
文房具カフェオフィシャル会員です。
Twitterもやってます。

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