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経済・企業小説よむ読む(改)

経済小説、企業小説、警察小説、ミステリーと 最近は様々なジャンルを読んでいます。 文房具のことや独り言なんかも書いてます。

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逆向誘拐

逆向誘拐 文 善 (著), 稲村 文吾 (翻訳)

やはり訳本だとどうしてもニュアンスが正確に伝
わらない、というより日本人の感覚との差から生
じる違和感でしょうか。それが最新の技術や金融
に関することであると尚更です。それでも、今の
世間を素直に現しているとでも言うのでしょか、
現代の若者の感覚がベテラン捜査員達を混乱させ
ます。
事件は投資銀行から極秘の融資案件データが盗ま
れたことから始まります。犯人はこのプロジェク
トに関わった僅かなメンバー、そして主人公の植
嶝仁です。植嶝仁は案件には関係なく、情報シス
テム部に所属し、データが無くなったと相談を受
けたことから巻き込まれていきます。
植嶝仁は、父親が財閥を率いるトップ、つまり大
富豪の息子だったりして、著者が香港生まれとい
うことで、そういった背景が絡み複雑さが増して
理解するのに途中苦労しました。それにしても、
これだけのストーリー、複雑さに難解な金融シス
テム、そして新しいテクノロジーと意外な結末、
第三回島田荘司推理小説賞を受賞するだけの
作品で面白かったです。

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二礼茜の特命 仕掛ける

二礼茜の特命 仕掛ける 城山 真一

株取引の天才、黒女神「二礼茜」シリーズ第2弾
です。
前作からは少し落ち着いて内閣金融局の秘密部門
SII所属の国家公務員として一応上司、元銀行員の
百瀬良太とともに全国で資金を必要とする者の手
助けのため放浪生活を続けていました。
今作では創薬ベンチャー「エヌメディック」を舞
台に二礼茜が相場の世界に戦いを挑みます。
エヌメディックは提携先からの契約解除、メイン
バンクからの貸しはがし、追随するサブバンクか
らの返済催促と新薬の治験結果発表から外堀が埋
められるように経営危機に直面します。自己資金
が枯渇する中、内閣金融局の秘密部門SIIに助けを
求め、茜と良太がエヌメディックが乗り込んでき
たところから大きく物語は動き出します。
茜達が支援する条件は一つ、今回も大切なものと
引き換えに依頼を受けます。
最近のアルゴリズムに基づく金融取引の影響で相
場は常に小幅な値動きしかしないボックス相場に
移行し、二礼茜をもってしても巨額の益を生み出
すことは難しくなっていました。
エヌメディックにはインサイダー取引の疑いも出
る中、犯人捜し、会社の建て直しと問題を解決し
ながら、ヘッジファンドなどが操るシステムによ
る高速取引に立ち向かっていきます。
金融関係の用語や知識がどんどん身についていき
勉強になります。ストーリーも軽快でとても面白
かったです。





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残業税

残業税 小前 亮


前によんだかも・・・まあいいです。
働き方改革の一環で残業にも課税されることにな
り、負担は雇用する側、される側両者折半で課さ
れます。これを監視、取り締まる側も変化があり、
税務署と労基署が省の枠を超えて行うことになり
ました。
主人公は国税庁に新設された残業税調査官の
矢島顕央、彼は労働基準監督官の西川宗太郎と
コンビで毎日の様に脱税というのか不法労働と
いうのか、とにかくお互いの根拠となる法令に
反する行為、つまり違法な残業をしている会社に
立ち入り調査へ赴きます。
緩い感じの短編連作風になっています。毎回様々
な業種の会社が登場し、矢島と西川のコンビが
摘発していきます。
居酒屋、IT企業、エステ、時には警察と情報交換
することも、働き方を大きく変えた残業税の功績
と罪過、矢島と西川の人間らしさ、それぞれの性
格もよく描かれていてラストは感動へと展開して
いきます。
残業税なんて今は無い制度にもかかわらず、内容
はリアルで面白い作品でした。



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ぷろぼの

ぷろぼの 楡 周平

ぷろぼのとは、Amazonの内容紹介によると
pro bono publico、公共の利益のためにという意味
のラテン語だそうです。
電機メーカー大手で汐留に本社のあるパシフィック
電器、汐留といえばあの電機メーカーがありますね。
主人公は、パシフィック電器人事部労務部人材開
発課課長代理の大岡義秀、彼の仕事は上司の労務
担当部長の江間宏康の指示に従い、人材開発課長
の西本幸治とともに大規模なリストラを行うこと
です。
人として考えられないような追い込み方で退職を
迫る江間のやり方に精神的にも疲弊していた大岡、
とうとう彼の担当するリストラ対象の社員に自殺
者が出ます。大岡は妻の助言に従い、NPO組織
「MY LINK」の三国俊春と長崎千広のもとを訪れ
ます。このMY LINKこそプロボノというお金より
生きがいをもって訪れる人達を斡旋する組織です。
大岡は会社で疲弊した身体をボランティアで社会
貢献することでなんとか人としての心を保ってい
ました。
派遣先の飲み会で、大岡は自分がどんな悩みを抱
えているのかを打ち明け、物語は大きく動き出し
ます。
江間という人間がどれだけ悪辣なのか、読んでい
ても恐ろしくなります。
大岡の頼ったMY LINKの三国と長崎が知恵を絞っ
て、なかなか痛快な作戦を実行します。
読み応えのある面白い作品でした。しかしこんな
リストラの方法って・・・江間の性格の悪さが際
立っていて、その分だけ余計に面白さが増しまし
た。



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アキラとあきら

アキラとあきら 池井戸潤

2017年7月9日から毎週日曜夜10時にWOWOWで
の放送が決まっている作品です。
池井戸潤の「半沢直樹」「花咲舞が黙ってない」と
銀行を舞台とした小説の原点とも言える作品です。
主人公は2人の「あきら」、一方は親が零細工場を
経営し倒産を経験している山崎瑛、もう一方は、
大手海運会社東海郵船の息子で何不自由なく生きて
きた階堂彬、この2人が同じ職場で出会い相乗効果
をもたらすドラマの原作としては最高の物語です。
育ちが違うからこそできること、思いもよらぬ考え
方で難題に立ち向かいます。
同じ都市銀行に就職した2人、それぞれの道を歩み
始めますが、階堂彬の父親の急逝のあとのゴタゴタ
で結局、親のあとを継ぐ運命に抗ってきた階堂彬も、
その流れに逆らえず銀行を退職、東海郵船に就任し
ます。そこで知る会社の現状、足を引っ張る叔父達
の経営する会社と下田のリゾート開発、それでも
階堂彬は試練に立ち向かっていきます。
銀行の窓口、担当は山崎瑛、久しぶりの再会、2人
が奇跡を起こしていく姿を描いた人間ドラマです。
「半沢直樹」を彷彿させる人間どおしのぶつかり合
いがとても面白く一気読みしてしまいました。
ドラマも楽しみです。向井理が階堂彬、斎藤工が
山崎瑛だそうです。


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プロフィール

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性別:
男性
自己紹介:
ただの本好きです。文房具も大好きです。
文房具カフェオフィシャル会員です。
Twitterもやってます。

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