紙の城 本城 雅人
全国紙を発行する東洋新聞が、轟木太一率いる大手
IT会社インアクティヴに買収される、突然飛び込ん
できた事実に主人公の東洋新聞社会部デスクの安芸
稔彦達が買収阻止へ向け立ち上がる、新聞の現状と
将来を描いた物語です。
そもそもは、インアクティヴがアーバンテレビを
買収しようと動き出したのですが、交渉過程で突然、
取得したアーバンテレビの株をアーバンに返す代わ
りに、系列会社の東洋新聞社株と交換する条件を持
ち出したことがきっかけでした。今や新聞は斜陽産
業となり赤字を垂れ流すアーバンテレビから見れば
負担でしかない会社を引き取ってくれるという提案
に合意してしまいます。
ネットインフラが発達しニュースもウェブファース
トと呼ばれるようになり、新聞の役割を見直すきっ
かけとなります。
これからの新聞の在り方とは、安芸達は紙面を通じ
て社会に訴え、一方で買収阻止に向け日刊新聞紙の
発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に
関する法律という昭和26年の法律を盾に阻止するよ
う轟木のスキャンダルを探ります。
スマホやパソコンでネットを利用する人なら誰もが
思う新聞の必要性について、読者に訴えかけてきま
す。
待遇面や税制の優遇など世間から見れば、時代錯誤
に感じることもある中で新聞記者達が必死で考える
これからが読めます。
一次情報の必要性、買収目前、緊迫する中での展開
がとても面白かったです。
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