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経済・企業小説よむ読む(改)

経済小説、企業小説、警察小説、ミステリーと 最近は様々なジャンルを読んでいます。 文房具のことや独り言なんかも書いてます。

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火災調査官

火災調査官 福田 和代

タイトルのインパクトがあまりなかったので読むのが
遅くなってしまいました。
内容はタイトルに反して、これぞミステリーという
作品でした。
主人公の東は、東京消防庁の火災調査官、独りが好き
でしかも超がつくほどの真面目な性格、小さい頃から
人と関わることを嫌っていたが、高校時代にバスケ部
へ入部して知り合った先輩の白木が、同じ消防庁の
ポンプ車で小隊長を勤めているという体育会系のつな
がりもあり、これが物語のキーになります。
ある日、空き家で起きた放火事件を発端に、連続して
放火事件が発生します。
調査に乗り出す東、現場に必ず残されている1枚の
絵画、計画的な犯行を阻止するため単独で、かつ、
遣えるもの全て動員しますが、犯人に先を越され、
とうとう死者が出ます。
犯人の様々な仕掛けや綿密な事前調査、それでも東は
重要なヒントに気付きます。
知恵比べとラストの壮大な場面、意外な結末に驚きつ
つも感心し、本当に面白い作品だと思いました。
登場人物の育った環境など背景を織り込みながら、
その背景を意識しつつストーリーを組み立てていく技
はスゴイと思いました。

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シスト

シスト 初瀬 礼

真相は、人間の愚かさを改めて感じさせる物語です。
原因不明の感染症、それは全世界を襲います。
主人公の御堂万里菜は、ビデオジャーナリスト、
父親はスパイ容疑で日本から逃亡したロシア人と
母親は日本人のハーフで、小さい頃から差別され
大人になっても公安からの妨害行為で、生きてき
ていいことがまるでない人生でした。
彼女が選択した職業は、フリーのビデオジャーナリ
スト、世界の戦場へ赴きギリギリの取材を続け、
いつしか、それなりの地位を獲得し自分の生きてい
く場所を見つけて必死で守っていました。
しかし、母も亡くなり恋人も身よりもない彼女を襲
ったのは、若年性認知症という病気でした。
現在治療薬はなく症状そのものは、認知症と同じで、
ただ64歳以下で発症したので若年性認知症とされ
る病でした。
彼女の発症そのものが今回の原因不明のパンデミッ
クに大きく影響します。
世界は今後どうなっていくのか。
日本だけでなく世界中を恐怖に陥れた2つの超大国、
恐怖と面白さを兼ね備えた物語です。




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黒い紙

黒い紙 堂場 瞬一

堂場瞬一氏が企業小説?と思ったら、内容は警察小
説的ミステリーでした。
交番勤務に誇りを持って勤務に臨んでいた父親が殺
されたショックで自身も神奈川県警の刑事を辞め、
彼女と別れた主人公の長須は警察OBが始めた危機
管理会社TCRに拾われ、最初に担当した事案が、
顧問契約を結ぶ大手総合商社テイゲンに届いた会長
の糸山が働いた旧ソ連のスパイ活動をネタに現金
10億円を要求するものでした。
テイゲンからは、警察に知らせず秘密裏に処理する
ことを要求されます。
長須は立ち直り事件を解決することができるのか、
警察組織に属さないことが調査にどれほど支障があ
るのかにも気づくことになります。
不自由を強いられる中で、少しずつ解決へ向けて必
死にもがく長須の姿を描いています。
ショックで精神的に病んだことを差し引いても少し
変わった性格の長須、それが自身が持つ正義感のせ
いなのか、元来の性格なのか何とも言えませんが付
き合いにくいことは確かです。
それでもTCRの同僚や警察時代の同期が何かと彼
を気に掛けてくれる、絆のようなものを感じます。
警察小説のように強引な捜査方法で前に進んでいく
のではなく、民間会社が事件解決へ危険にさらされ
ながら半歩遅れで進んでいく物語もなかなか面白い
なと思いました。
異色なミステリーですが面白かったです。




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メビウス・ファクトリー

メビウス・ファクトリー 三崎 亜記

工場が町の産業のほとんどを占め、住民は工場に勤
めるか関連施設へ、工場が町そのものである完全閉
鎖型企業城下町を舞台にした物語です。
町の中で生活の全てが完結する社会、お金も独自の
電子マネーで統一され、交通機関も巡回バスが町を
くまなく廻り車さへ必要としない、そんな場所で起
きる様々な出来事、町民はどう判断するのか、とて
も恐ろしい物語です。

工場で製造されているのはP1と称されるもの、匠
の技ではなく、心を込めて作ることが最重要、奉仕
という言葉が求められる閉鎖的な世界で生活する人
々、平時は命ぜられたことをこなせば何不自由なく
暮らせるという、未来とか切り開くと言った言葉が
無用な町に小さな綻びが生じます。
それは町出身の男、アルトが妻とその連れ子ととも
にUターン就職したことから始まります。

社会主義とか共産主義、宗教的な感じもしますが、
こういったことが理想なのでしょうか。
そんな町で生活をするとどうなるのか、人間はその
生活に慣れ、やがてそれが当然と思うようになって
いきます。
それでも、平和な時は、その生活の中で幸せを感じ
たり悩みを抱えたりします。
当たり前が、そうでなくなった時、人は何を考える
のか、どう行動するのか、とても恐ろしいです。
町は崩壊へ向かうのか、それとも存続するのか、ど
こかの行く末を見るような気がする物語でした。




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虹を待つ彼女

虹を待つ彼女 逸木 裕

スゴい作品でした。
第36回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作です。
プロフィールによるとフリーのプログラマー兼作家と
なってます、重版にもなったようです。
話題の人工知能を題材にしたミステリ作品です。
主人公の人工知能の研究者である工藤賢、何もかも先
が予想できてしまい、よって限界も見えてしまう、
人生そのものにむなしさを感じながら生きています。
人工知能と恋愛ができるソフト「フリクト」の開発に
中心として携わり、社会的にも一躍有名になります。
その進化版としてアイドルを人工知能化するプロジェ
クトに携わることになり、もう一人の主人公、水科晴
が関わってきます。プロトタイプとして死者で身内も
いない水科晴で開発を開始します。
自作のゲームで自らを標的にして死を遂げた彼女には
ネット界では多くのファンが6年経ってもいました。
工藤賢が彼女を知ろうとした時から物語は大きく動き
だしていきます。
前半の構成はとても大きなプロローグとなっており、
この物語の着地点はどこなのだろうと時折考えてしま
うくらいですが、後半でこれを補うどころか、この
前半の物語がコンパクトにまとめられていたら、ここ
までの面白さ、感動と驚きはなかったと思います。
人工知能の進化はどこで人間を追い抜くのか、囲碁の
対局も出てきますが、定石がある勝負ごとは生身の人
間より圧倒的にコンピュータは有利であり、当然の結
果なのかもしれません。それを打ち破る人間がいるか
らこそ研究の進化も止まらないのでしょう。
可能な限り、というよりも水科晴そのものを造りだそ
うと妥協を許さない工藤賢、脅迫されながらも追い続
け、その犯人を突き止め、さらにその先へ進み出た結
論は、ゲームクリエイターたる水科晴の真意が感動を
よびます。
これだけ、人工知能やプログラミングの世界を踏まえ
ながら様々な真相と意外な結末、読んでいて驚きまし
た、こんな作品を出す著者が現れ、次作が楽しみです。
本当に面白い驚きの作品でした。



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プロフィール

HN:
gobgob
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性別:
男性
自己紹介:
ただの本好きです。文房具も大好きです。
文房具カフェオフィシャル会員です。
Twitterもやってます。

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